リン酸亜鉛、ブラックガード処理
リン酸亜鉛、ブラックガード処理
リン酸亜鉛処理とは、リン酸塩処理の一つで、鋼材表面をリン酸と亜鉛を主成分とした処理液と化学反応させることで、金属表面に強固に密着した不溶性のリン酸亜鉛結晶による皮膜を形成させる処理方法です。
鋼材と塗膜との密着性・耐食性向上を目的とした、塗装下地や塑性加工時などの潤滑皮膜などとして利用される化成処理です。また、鋳物の加工にも適しています。
リン酸亜鉛皮膜は、リン酸亜鉛による結晶質の皮膜です。
電子顕微鏡などで表面を拡大して観察すると、µmオーダーの小さな結晶で覆われていることが確認できます。
小さな結晶によって覆われているため、リン酸亜鉛処理をした製品の見た目は、艶消しの灰色から黒色で、触ると若干程度ザラザラした感触になります。
また、塗装をしたときに結晶の隙間に入り込むようにして塗膜が形成することで、投錨効果・アンカー効果によって塗膜の密着性が向上します。
特性
1. ブラックガード
黒色、膜厚5〜15µm、高耐食、鋳物に処理可能
2. リン酸亜鉛(厚膜タイプ)
梨地のグレー色、膜厚5~15µm、高耐食、鋳物に処理可能
3. リン酸亜鉛(薄膜タイプ) カルシウム含有
薄いグレー色、膜厚2〜5µm、耐熱温度が高い
特徴
- 1. 塗装下地として極めて有効
皮膜がザラザラしており、アンカー効果が得られ塗膜の密着性が上がります。
薄膜カルシウムタイプは耐熱温度が高く、高温で焼き付ける塗装の下地に適しています。 - 2. 材質にダメージを与えない
処理温度が95℃以下で材質にダメージを与えません。(ブラックガードは常温)
- 3. ローコスト
大量生産に向き、比較的安価です。
- 4. 鉄鋼以外も処理可能
他の化成処理で加工が難しい鋳物も処理が可能です。
用途例
油圧部品、バネ、建機用パーツ他、鋳物部品、塗装下地など