黒染(スーパーブラック)
黒染(スーパーブラック )
黒染は金属の表面に良性の錆(黒色の酸化皮膜)を生じさせ赤錆を防ぐ防錆処理です。
処理後の外観は黒く染めたように美しく、装飾部品にも使われます。
黒染は化学反応で鉄そのものを酸化膜に変えて皮膜を形成します。そのため寸法変化がほとんど無く、
皮膜が剥がれることもありません。その他にも様々な効果が期待できます。
特性
1. 膜厚0〜1µm(寸法変化殆ど無し)
2. 緻密な黒色皮膜(四三酸化鉄皮膜)
特徴
- 1. 光沢のある黒色で見栄えがいい
黒染加工では光沢のある黒色を自然に出すことができます。金属の素材感は損なわずに、光沢のある黒色に仕上げることが可能です。デザインにこだわった製品にあえて黒染加工が用いられることもあります。
- 2. はがれる心配がない
黒染加工は化学反応によって表面を加工する方法です。めっきや塗装のようにはがれることはありません。
- 3. 寸法精度がほぼ変わらず、摩擦防止効果もある
黒染加工では表面に処理された被膜が非常に薄いため、寸法精度に影響しません。
寸法精度が要求される製品に適しています。また、ある程度の耐摩耗性も期待できます。 - 4. コストが抑えられる
黒染加工は、塗装やめっきよりもコストが低いのが特徴です。
形状によりますが、一度にたくさんの製品を処理できるため、コストを低く抑えることができます。 - 5. 防錆油で錆の発生防止と潤滑性の向上になる
黒染加工をする際、処理後に使用する防錆油は、さびの発生を防ぐだけでなく、潤滑性を高める効果も持っています。金属部品としての使い勝手を良くする効果が期待できます。
- 6. 素材の強度や性質への影響が少ない
黒染加工の処理温度は140℃前後と、比較的低温であることが特徴のひとつです。
低温での処理になるため素材が変質・変形せず、強度や性質への影響が少ないことがメリットとして挙げられます。 - 7. 耐熱性が高い
黒染加工によってつくられる四酸化三鉄の被膜は、耐熱性が高いことも特徴です。
黒染加工をすることで、高熱での環境が予測される機械にも使用できる金属部品を作れます。
黒染加工に向き・不向きな素材
向いている素材
黒染加工には、炭素鋼などの鉄系の素材が向いています。実際にほとんどの場合、鉄系の素材に対して使われ ています。
向いていない素材
同じ鉄鋼でも、鋳物や熱処理された製品、ワイヤーカットしたものは、黒染加工を施すことによって茶色くなってしまいます。ただし、前処理により可能になる場合もあります。他にはクロムやニッケルなどを多く含む合金鋼は黒ではなくグレーに仕上がるので向いていません。また、処理液が強アルカリ性のため、アルミニウムには処理できません。
用途例
精密機械部品、バネ、ボルト、刃物類、ベアリング、他
ドリル用クイックチャック部品